自動ブレーキは、認証工場での正しい整備がなければ命を守れません。次の車検・修理までに、あなたの車の整備先が「認証工場かどうか」を今すぐ確認してください。
あなたの車の自動ブレーキ、本当に効きますか?
ある日とつぜん、家族が事故に──誰にでも起こりうる事故
2023年の秋。
当社に入庫してきた白いプリウス。前方がぐしゃりとつぶれていました。
運転していたのは、50代の主婦の方。幸い大きなケガはありませんでしたが、その方の第一声が今でも耳に残っています。
「自動ブレーキがついてるから大丈夫だと思ってたのに…なんで効かなかったんですか」
調べてみると、半年前にフロントガラスを交換していました。場所は、近所の「格安ガラス交換」の看板を出している工場。
そこで私は、ゾッとしました。
カメラのエーミング(校正)が一切されていなかったんです。
つまり、半年間、この方は「自動ブレーキが効かない車」を運転していた。本人は全く気づかずに。
これは、決して珍しい話ではありません。
実際、私たちの工場には毎月のように「他の工場で修理したけど、なんかおかしい」という相談が舞い込みます。
- 半年前のフロントガラス交換後、カメラの校正(エーミング)が行われていなかった
- 修理を依頼した工場は、国の認証を受けていない違法整備工場だった
- 「4万円安い」に惹かれて選んだ工場が、家族を危険にさらしていた
整備士として20年以上この業界にいて、正直、憤りを感じることがあります。
自動ブレーキやカメラ・レーダーに関わる整備は、国の認証を受けた工場でしか行ってはいけません。これは法律です。
でも、多くのドライバーは、この事実を知りません。いや、知らされていないんです。
実際のデータ|「効かない」「勝手に効く」の相談が年間340件
国土交通省の自動車不具合情報ホットラインに寄せられた、ある年度の自動ブレーキ関連トラブル[1]
これは氷山の一角です。
「なんとなくおかしい」と感じながらも、相談していない人はもっと多いはず。
というのも…
「去年の冬、飛び石でフロントガラスにヒビが入って。ネットで『格安ガラス交換』って出てきた工場に頼んだんです。ディーラーの半額以下だったので」
「でも、交換後から車線逸脱警報が全然鳴らなくなって。最初は『センサーが賢くなったのかな』くらいに思ってました」
「それが、家族を乗せて高速を走ってるときに、前の車に急接近しても警告が出なくて。ヒヤッとしました」
「御社で点検してもらったら、『カメラの校正が全くされてない』って…。あのまま乗り続けてたら、事故ってましたね」
田中様のケース、実は珍しくないんです。
あなたの車を預ける工場は「認証工場」ですか
次の点検・修理までに確認しなければ、あなたの家族が危険にさらされます。
自動ブレーキは”数字で効いている装置”──正しく整備されていれば
結論|年間約5万件の事故を減らせるポテンシャル
国土交通省の試算[2]によると、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)がすべての車に普及し、正しく整備された状態なら、次の効果が見込まれます
つまり、今起きている死亡事故・ケガの事故の約7%は、この装置ひとつで防げます。
ただし。
「正しく整備されていれば」という前提つきです。
大型トラックでの実測|追突事故が3分の1に
中部運輸局が約6,100台の大型トラックで調査したデータ[3]です
追突事故が約3分の1に。
これ、すごい数字なんです。
自動ブレーキは、確実に命を守っています。
この効果は、「正しく整備されている」ことが大前提です。認証のない工場での整備、エーミング省略の激安修理は、この効果をゼロにします。
いや、ゼロどころか、マイナスになることさえあります。
「ついてるから安心」という油断が、かえって事故を招くんです。
そもそも「認証工場でしかできない整備」とは何か
結論|カメラ・レーダーに触る整備は、国の認証が必須
国土交通省は、次の作業を「国の認証を受けた工場でしか行ってはいけない」と法律で定めています[4]
分解整備|エンジン・ブレーキ・かじ取りなど
- エンジン(原動機)の脱着
- ドライブシャフト・プロペラシャフトの脱着
- ロアアームなどサスペンション部品の脱着
- タイロッドエンドなど、かじ取り部品の脱着
- ブレーキキャリパーやホースなど主要部品の交換
- リーフスプリングなどの脱着
特定整備|自動ブレーキ・車線維持支援のカメラ・レーダー関連
- フロントガラス交換(カメラ付き)
- バンパー交換(レーダー付き)
- カメラ・レーダーのエーミング(校正)作業
これらの作業は、認証のない工場では「やってはいけない」んです。
でも現実は…
価格の安さに惹かれたユーザーが、知らずに違法整備工場に預けてしまう。そして事故が起きる。
これ、イタチごっこなんです。私たちが啓蒙しても、また新しい「格安工場」が出てくる。
「安い」には理由がある──命と引き換えの価格差
ユーザーから見ると、次のように見えます
- A工場(認証あり) フロントガラス交換 8万円
- B工場(認証なし) フロントガラス交換 4万円
「4万円も安い!」
気持ちは分かります。私だって、安い方がいいですもん。
でも。
「4万円安い」と思って選んだB工場。しかし、その4万円の差は次のようなリスクと引き換えです
- カメラのエーミング(校正)を省略 → 自動ブレーキが効かない
- 認証がないため、そもそも違法整備 → 保険が下りない可能性
- 自動ブレーキが正しく効かなくなるリスク → 事故で家族が…
数年前、30代のご夫婦が当社に相談に来られました。
「他の工場でバンパー修理したんですけど、それから自動ブレーキがおかしくて…」
点検すると、レーダーの角度が完全にズレていました。エーミングもされていない。
奥様が泣きながら言いました。
「先週、子どもを乗せて保育園に向かうときに、前の車に急接近しても警告が出なくて。あわててブレーキ踏んだんですけど、間に合わなくて追突しちゃって…」
「幸い子どもは無事だったんですけど、もし高速だったら…」
その方が修理を依頼した工場は、「認証なし」でした。
でも、その工場のホームページには「自動ブレーキ対応」って書いてあったんです。
これ、違法なんです。でも、ユーザーには分からない。
この4万円の差は、「命と引き換えの価格差」だったんです。
実際に起きているトラブル
ケース1|何もない場所で、とつぜん急ブレーキ
前まわりをぶつけて板金修理に出したお客様。
納車後の街中で、前方に何もないのに、とつぜん「ガガガッ」と自動ブレーキが作動しました。
しかも、後続車に追突されそうになって…
あわてて工場に連絡。調べてみると次のことが判明しました
- レーダーの角度がわずかにズレていた
- エーミングの基準が正しく取れていなかった
正しくエーミングをやり直して、ようやく解消。
ただ、このお客様、運が良かった方なんです。
後続車のドライバーが「ベテラン」で、車間距離を十分取っていたから追突を回避できた。
でも、もし後続車が若葉マークだったら…
ケース2|家族の運転で「警告が鳴らなくなった」
「飛び石でフロントガラスにヒビが入って、ネットで見つけた『出張ガラス交換』に頼んだんです」
「そしたら、交換後から車線を出ても警告が鳴らなくなって」
「最初は『センサーが壊れたのかな』って思ったんですけど、ディーラーに持っていったら『カメラの校正が全くされてない』って言われて」
「しかも、その工場に連絡したら『そんな作業は知らない』って…」
調べてみると、ガラス交換だけ行われ、カメラのエーミングが一切されていませんでした。
ディーラーでエーミングを実施すると、今までサボっていた分まで働き始めたかのように、警告・介入のタイミングが正常に戻りました。
佐藤様は幸い、大きな事故には至りませんでした。
でも、半年間、「自動ブレーキが効かない車」を運転していたんです。
本人は全く気づかずに。
もしあなたの車が「効かない状態」だったら
これらの事例は、決して他人事ではありません
- 去年フロントガラスを交換した
- 最近バンパーを修理した
- 安い工場で板金をした
ひとつでも心当たりがあるなら、今すぐ認証工場で点検してください。
というか。
正直、私は怖いんです。
「自動ブレーキが効かない車」が、今この瞬間も、全国の道路を走っているかもしれない。
そして、ドライバーは全く気づいていない。
それで事故が起きたとき、「自動ブレーキを過信した」って報道される。
違うんです。過信じゃない。そもそも効いてないんです。
整備メニュー別「危険度」一覧
どの作業がどれくらい危険なのか、★評価で整理しました。
※横スクロールできます
| 整備メニュー | 認証工場必須レベル | 危険度 | 気づきにくさ | 代表的なリスク例 |
|---|---|---|---|---|
| フロントガラス交換(カメラ付き) | 必須(特定整備) | ★★★★★ | ★★★★☆ | 自動ブレーキ・車線維持が効かない/誤作動 |
| フロントバンパー交換(レーダー付き) | 必須(特定整備) | ★★★★★ | ★★★★☆ | 障害物を誤認識/何もない場所で急ブレーキ |
| 足まわり交換・ローダウン | 必須(分解整備) | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 直進性悪化/自動ブレーキ計算の狂い |
| ブレーキキャリパー・ホース交換 | 必須(分解整備) | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 制動力不足・急制動時に止まりきれない |
| タイロッドエンド・ステアリングまわり脱着 | 必須(分解整備) | ★★★★★ | ★★★★☆ | 走行中に操舵不能・きゅうげきな車線逸脱 |
| オイル交換・タイヤローテーションのみ | 認証でなくても可能 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ナット締め不足やオイル漏れなど基本的なミスに限られる |
この表を見れば、同じ「整備」でも、命に直結するレベルの作業とそうでない作業があることが分かります。
オイル交換やタイヤローテーションは、正直、そこまで神経質にならなくてもいい。
でも、自動ブレーキ関連は別格です。
私たちの工場では、エーミング作業に最低でも1時間はかけます。
「そんなに時間かけなくても…」って思うかもしれませんが、0.1度のズレが、時速100kmでは数メートルの誤差になるんです。
数メートルの誤差が、命と事故の分かれ目になる。
だから、手を抜けないんです。
今日からできる「自分と家族を守る」チェックリスト
1. その工場は”認証工場”かを目で確認する
- 工場の入口や事務所に「認証標識」があるか
- 整備記録簿や見積書に「認証番号」「工場名」が記載されているか
エンジン・ブレーキ・足まわり・自動ブレーキ関連を触るときは、認証工場以外に預けないのが最低ラインです。
ちなみに。
「認証標識」は、国が発行した正式な証明書です。偽造はできません。
もし「うちは認証工場です」と言いながら標識がない工場があったら、それは嘘です。その場で預けるのをやめてください。
2. 見積もりのときに、この一言だけは聞く
フロントガラス交換、バンパー修理、足まわり交換などの際は、必ずこう聞いてください
「自動ブレーキや車線維持装置のカメラ・レーダーのエーミング(校正)も実施しますか? その作業は、認証工場で行っていますか?」
この質問に対して次のように答える工場は信頼できます
- 良い回答 「はい、特定整備の認証がありますので当社で実施します」
- 良い回答 「認証工場と提携しており、エーミングも含めて対応します」
逆に次のような回答なら危険です
- 危険な回答 「そこまでは必要ないですよ」
- 危険な回答 「うちにはその設備がないので、やっていません」
- 危険な回答 「エーミング? なんですかそれ」(論外)
工場選びを見直してください。
これ、遠慮せずに聞いていいんです。
というか、聞かれて困る工場は、そもそも預けちゃダメな工場です。
3. 納車後、「何かおかしい」と感じたら即相談
納車後に次のような違和感を感じたら
- 自動ブレーキやACCの挙動が以前と違う
- 警告がきょくたんに減った/逆に増えた
- 車線維持でセンターを保ちにくくなった気がする
- なんとなく「おかしい」という直感
と感じたら次のように対応してください
- その機能に頼らず、まずは自分の運転だけで安全運転
- 違和感を感じたシチュエーションをメモ(日時・場所・状況)
- できれば別の認証工場やディーラーにも相談
「気のせいかな」で放置するには、リスクが大きすぎます。
人間の直感って、けっこう当たるんです。
「なんかおかしい」って感じたら、それは本当におかしいことが多い。
遠慮せずに、相談してください。
あなたの車を預けている工場が「認証工場」かどうか、今すぐ確認してください。
次の修理・車検で「認証のない工場」に預けてしまう前に、チェックリストを使って安全を確保してください。
当社が「自動ブレーキ時代」の整備パートナーとして選ばれる理由
ここまで読んで、「じゃあ、どこに頼めば安心なの」と思った方へ。
私たちは、以下の資格・認証を備えた工場として、自動ブレーキ時代の”守る整備”に取り組んでいます
✓ 九州運輸局長 認証工場 1-2887
分解整備・電子制御装置整備(特定整備)を行うための、国の認証を受けた工場です。エンジン・ブレーキ・足まわり・自動ブレーキ関連の整備を、法令に則って実施します。
✓ 厚生労働省 認定 塗装一級技能士
鈑金塗装のプロフェッショナルが在籍。見た目の修復だけでなく、レーダーやカメラの視界・取付精度まで考慮した修理を行います。
✓ 国土交通省 認定 二級自動車整備士
国家資格を持つ整備士が、機械的な安全性と電子制御システムの両方をチェック。目に見える不具合はもちろん、「将来トラブルになりそうな兆候」も見逃しません。
✓ 損害保険会社 推奨指定工場
複数の損害保険会社から修理品質と対応力を評価されている工場です。事故修理〜保険会社とのやりとりまで一括サポートし、あなたの負担を最小限に抑えます。
正直に言います。
認証工場として、エーミング設備を導入して、国家資格を持った整備士を雇って…コストはかかります。
「格安工場」と比べたら、どうしても価格は高くなる。
でも。
私たちは、「安さ」で勝負したくないんです。
冒頭で話した、白いプリウスの主婦の方。あの方の「なんで効かなかったんですか」という言葉が、今でも耳に残っています。
私たちの仕事は、車を直すことじゃない。命を守ることだと思っています。
だから、手を抜けない。省略できない。
それが、私たちの誇りです。
まとめ|「最新装備」よりも、「活かせる整備」を選ぶ
「最新の安全装置が付いているから安心」ではなく、「その安全装置を正しく整備・校正できる”認証工場”を選んでいるから安心」
この発想に変えることが、「自動ブレーキが効かない車」を作らないための、いちばん現実的な守り方です。
あなたが今日から手に入れられる「安心」
この記事を読んだあなたは、もう「知らなかった」とは言えません
- 次の車検・修理で、認証工場かどうかを確認する
- 見積もりのとき、エーミングについて質問する
- 納車後、少しでも違和感があれば即相談する
この3つを実践するだけで、あなたと、ご家族・大切な人を守れる確率は、確実に上がります。
「知らなかった」で済まされない時代に
認証のない工場による違法整備。
エーミングを省略した激安修理。
目先の価格だけで工場を選ぶこと。
こういった選択は、一見お得に見えて、実は「自動ブレーキが本当に効くか分からない車」を生み出すリスクがあります。
そして、そのリスクを背負うのは、あなたと、あなたの家族です。
「この車の安全装置、本当に今も”効く状態”かな」
この問いかけひとつで、あなたの家族の未来が変わります。
この記事があなたと大切な人を守る、最初の一歩になれば幸いです。
もし、あなたの周りに「最近車を修理した」という人がいたら、この記事を教えてあげてください。
特に、ご家族や大切な人が「格安工場で修理した」と言っていたら、「認証工場だった?」って聞いてあげてください。
それだけで、救える命があるかもしれません。
私たち整備士は、毎日、そう願いながら仕事をしています。
よくある質問
Q1. 認証工場とディーラーは、どう違うんですか?
どちらも「国の認証を受けた工場」です。
よく「ディーラーじゃないと安心できない」って言われるんですけど、実はそうでもないんです。
ディーラーは、メーカー系列の工場。トヨタならトヨタ、ホンダならホンダの車を専門に扱います。
一方、認証工場(民間整備工場)は、複数のメーカーの車を扱うことが多い。
でも。
重要なのは「認証を受けているかどうか」です。
ディーラーかどうかじゃない。
現場の声
実際、当社にも「ディーラーで見積もったら20万円って言われたんですけど…」って相談が来ます。見積もりを見ると、同じ部品、同じエーミング作業。当社なら15万円でできる。
ディーラーが高いのは、純正部品を使うことと、メーカー保証があるから。でも、認証工場でも純正部品は使えるし、品質は変わりません。
じゃあ、どう選ぶ?
ディーラーが有利なのは次のような場合です
- 最新の車種(発売1年以内)
- 特殊な輸入車(フェラーリ、ランボルギーニなど)
- メーカー保証を使いたい場合
逆に、民間の認証工場が便利なのは
- 複数メーカーの車を持っている家庭(トヨタと日産とか)
- 価格を抑えたい場合
- 柔軟な対応を求める場合(夜間対応、代車など)
ちなみに、当社は認証工場ですが、ディーラー出身の整備士が3人います。技術レベルは、ディーラーと変わりません。
Q2. エーミング作業の費用は、どれくらいかかりますか?
車種や装備によって異なりますが、一般的には1万円〜3万円程度です。
これ、けっこう幅があるんです。
理由は、車によってセンサーの数や種類が全く違うから。
具体的な内訳はこんな感じです
- フロントカメラのエーミング 1万円〜2万円
- レーダーのエーミング 1.5万円〜3万円
- 複数のセンサーがある車 2万円〜5万円
- 高級車・輸入車 3万円〜7万円
実際の事例
ケース1 2020年式プリウス(フロントカメラのみ)
フロントガラス交換 5万円 + エーミング 1.5万円 = 合計6.5万円
ケース2 2022年式アルファード(カメラ+レーダー)
バンパー修理 3万円 + エーミング 3万円 = 合計6万円
ケース3 2023年式レクサスLS(カメラ複数+レーダー複数)
フロントガラス交換 8万円 + エーミング 5万円 = 合計13万円
ここで重要なのは…
「エーミング込み」の見積もりかどうか、必ず確認してください。
実際、こんなトラブルがありました。
お客様が「フロントガラス交換4万円」って聞いて、「安い!」と思って依頼。
ところが納車後、「エーミング作業は別料金で+2万円です」って言われて。
しかもその工場、認証がなかった…
結局、当社でエーミングをやり直して、合計8万円かかってしまいました。
最初から認証工場に頼んでいれば6.5万円で済んだのに。
安物買いの銭失いって、まさにこのことです。
見積もりのときに、「エーミング作業込みですか?」って聞くだけで、こういうトラブルは防げます。
Q3. 自分で「自動ブレーキが効いているか」確認する方法はありますか?
完全な確認は難しいですが、簡易チェックはできます。
ただし。
絶対に本気でブレーキをかけるテストはしないでください。
危険すぎます。
実際、YouTubeで「自動ブレーキのテスト」って検索すると、素人が車を壁に向かって走らせて…結局、自動ブレーキが効かずに激突してる動画があります。
あれ、マネしちゃダメです。
安全な簡易チェック方法はこちら
【メーター表示の確認】(これが一番安全)
- エンジンをかけたとき、自動ブレーキのマークが点灯するか
- マルチインフォメーションディスプレイに「衝突被害軽減ブレーキ ON」と表示されるか
- エラーメッセージが出ていないか
現場で実際にあった話
お客様が「自動ブレーキが効いてるか心配で…」って相談に来られました。
メーターを見ると、「衝突被害軽減ブレーキ 点検が必要です」って表示が。
お客様は「これ、ずっと出てたんですけど、気にしてませんでした」って。
点検したら、カメラのレンズに汚れがこびりついてて、全く機能してない状態でした。
【安全な場所での簡易テスト】(あくまで参考程度)
- 誰もいない広い駐車場などで、前方の壁や障害物にゆっくり近づいてみる(時速5km以下)
- 警告音や警告表示が出るか確認
- 実際にブレーキをかけるのは危険なので、警告が出た時点で自分でブレーキを踏んで停止
【車線逸脱警報のテスト】(これは比較的安全)
- 交通量の少ない広い道で、意図的に車線をまたいでみる(周囲の安全を十分確認)
- 警告音やハンドルの振動があるか確認
ただし、これらは簡易チェックです。
本格的な診断は、認証工場で専用機器を使って行ってください。
特に、次のような場合は必ずプロに点検してもらってください
- 修理後(フロントガラス、バンパー、足まわりなど)
- 中古車購入後
- 事故後
- なんとなく「おかしい」と感じたとき
人間の直感って、けっこう当たるんです。
「なんかおかしい」って感じたら、それは本当におかしいことが多い。遠慮せずに相談してください。
Q4. 修理後、どれくらいの期間で「おかしい」と気づくものですか?
すぐに気づく場合と、数ヶ月気づかない場合があります。
これ、本当に怖いんです。
誤作動は気づきやすい。でも、「効かない」状態は気づきにくい。
【すぐに気づくケース】(比較的マシ)
- 誤作動(何もないのに急ブレーキ) → 即日〜数日
- 警告音が頻繁に鳴る → 数日〜1週間
- 車線維持が全く効かない → 1週間以内
誤作動の実例(納車翌日)
バンパー修理後、翌日に高速道路で「ピピピッ」って警告音が鳴って、急に自動ブレーキが作動。
前方には何もないのに。
後続車に追突されそうになって、あわてて路肩に停車。すぐに工場に連絡してくれました。
レーダーの角度が0.3度ズレてて、高速道路の路面を「障害物」と誤認識していました。
【気づきにくいケース】(これが危険)
- 警告が出ない(本来なら警告すべき場面で出ない) → 数週間〜数ヶ月
- 自動ブレーキが効かない(実際に危険な場面にならないと分からない) → 半年以上
- 車線維持の精度が落ちた(徐々に悪化するので気づかない) → 数ヶ月
気づかなかった実例(半年後)
フロントガラス交換から半年後。
お客様が車検で来られたとき、「そういえば、最近あんまり警告が出ないな」って。
点検すると、カメラのエーミングが全くされていませんでした。
つまり、半年間、「自動ブレーキが効かない車」を運転していたんです。
お客様は「そういえば、前はもっと警告が出てたような…」って。
でも、徐々に慣れちゃって、「こんなもんかな」って思ってたそうです。
だからこそ、修理後すぐに確認してください
私がお客様におすすめしているのは、修理後すぐに、次のような場所で運転してみることです
- 高速道路(車線維持や追従走行のテスト)
- 山道(カーブでの挙動チェック)
- 雨の日(センサーの性能チェック)
普段と違う環境で運転すると、違和感に気づきやすいんです。
もし違和感があったら、即相談してください。
「気のせい」で済ませるには、リスクが大きすぎます。
実際、「気のせい」だと思って放置してたら、本当に事故になったケースもあります。
命に関わることなので、遠慮せずに点検を依頼しましょう。ちゃんとした工場なら、無料で点検してくれるはずです。
Q5. 保険を使って修理する場合、エーミング作業も保険でカバーされますか?
はい、通常は保険でカバーされます。
車両保険を使ってフロントガラスやバンパーを修理する場合、エーミング作業も「修理に必要な作業」として保険適用の対象になります。
ただし。
ここで知っておくべき「保険会社の裏側」があります。
【保険適用の仕組み】
- 見積もりの段階で、「エーミング作業込み」で保険会社に提出
- 保険会社が認定した工場(推奨指定工場)なら、手続きがスムーズ
- エーミング作業を省略した工場は、保険会社からも信頼されていない
保険会社とのやりとり(実例)
ケース1 認証工場での修理
フロントガラス交換 5万円 + エーミング 1.5万円 = 合計6.5万円
→ 保険会社「問題ありません。全額お支払いします」
ケース2 認証なし工場での修理
フロントガラス交換 4万円(エーミングなし)
→ 後日、エーミング不良が発覚
→ ディーラーでエーミングやり直し 2.5万円
→ 保険会社「追加費用は自己負担です」
【注意点】これ、知らない人が多い
認証のない工場で修理した場合、後から「エーミングが必要だった」と分かっても、追加費用が自己負担になることがあります。
さらに怖いのは…
エーミング不良が原因で事故を起こした場合、保険会社が「整備不良」と判断し、保険金が下りない可能性もあります。
実際にあった保険トラブル
お客様が格安工場でフロントガラスを交換。エーミングなし。
3ヶ月後、高速道路で前の車に追突。
お客様「自動ブレーキが効くと思ってた」
保険会社が調査したところ、「カメラのエーミングがされていない」と判明。
保険会社「これは整備不良による事故です。保険金の一部をお支払いできません」
結局、お客様は自己負担で30万円も払うことに…
保険を使う場合こそ、認証工場を選ぶべきです。
理由は3つあります
- 1. 保険会社との手続きがスムーズ
推奨指定工場なら、保険会社とのやりとりを工場が代行してくれます - 2. エーミング作業が保険適用される
見積もりの段階で、エーミング込みで保険会社に提出してくれます - 3. 後から追加費用が発生しない
認証工場なら、必要な作業をすべて最初から見積もりに入れてくれます
ちなみに、当社は複数の損害保険会社の推奨指定工場です。
お客様は工場に車を預けるだけ。保険会社とのやりとりは、すべて当社が代行します。
「保険使えるから安い工場でいいや」って思うかもしれませんが、それは逆です。保険を使うときこそ、ちゃんとした工場を選んでください。
参考資料・引用元
[1] 国土交通省「自動車不具合情報ホットライン」https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/hotline.html [2] 国土交通省「衝突被害軽減ブレーキの効果推計について」平成24年度(2012年度)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/aebs.html [3] 中部運輸局「衝突被害軽減ブレーキの効果分析」
※中部運輸局管内10社・約6,100台の大型トラックを対象とした調査データ [4] 国土交通省「自動車分解整備事業・特定整備事業について」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk7_000002.html
※本記事に記載の統計データは、国土交通省および中部運輸局が公開しているデータに基づいています。
※お客様の声は、実際の事例を基に個人が特定されないよう加工しています。

